「子どものためを思って言ってるのに、なぜか伝わらない」
そんなもどかしさに、ふと立ち止まってしまう夜があります。
この関わり方でいいの?
もっと良いやり方があったんじゃない?
正解がわからないまま、今日も子どもと向き合っている。
そんな自分を、ひそかに責めてしまうときもあるかもしれません。
焦ってしまうのは、「ちゃんと育ってほしい」から
「困らせたくない」「傷ついてほしくない」
それは、親として自然な願いです。
でも、未来に“正解”が見えない中で、
「今の関わりが間違っていたら…」と不安になる。
信じたいのに、揺れてしまう。
子どものことを思えば思うほど、迷ってしまう。
がんばっているのは、子どもだけじゃない。
親も、毎日が“はじめて”の連続なんです。
アドラーの「課題の分離」がくれた視点
馬を湖に連れていくことはできる。
でも、水を飲むかどうかは馬次第。
親ができるのは、湖までの道を示すこと。
でも、飲むかどうかを決めるのは、子ども自身。
これは、突き放すための考えではありません。
信じて任せるという、やさしさのかたちです。
「おいしい水があるよ」と伝えて、あとはその子の一歩を、信じて待つ。
信じることは、そばにいることと同じ。
時代は変わっても、育つ営みは変わらない
今の子どもたちは、私たちの頃とはまるで違う世界に生きています。
スマホがあり、SNSがあり、情報があふれている。
「こんな時代、どう育てればいいの?」と戸惑うのは当然です。
でも——育つという営みの本質は、変わっていません。
泣いて、笑って、転んで、すこしずつできることを増やしていく。
その姿は、今も昔も、きっと同じです。
他の子と比べてしまう気持ちに、やさしく寄り添う
まわりの子ができていると、自分の子が遅れているように感じてしまう。
比べてしまう気持ちは、よくわかります。
みんなが通る道だからです。
でも本当は、わかっているはず。
それぞれ歩く速さが違うように、育つタイミングも人それぞれ。
今日できなかったことも、
ある日ふいに、すっとできるようになる。
まるでスイッチが入ったみたいに、大人びた顔を見せる日が、きっと来ます。
その日が来るまで、そばにいること
できるようになる時期は、ひとりひとり違います。
「今じゃない」子に無理をさせても、うまくはいかない。
その子の“タイミング”を信じて待つこと。
それもまた、親の大切な役割です。
口を出したくなるときも、じっと構えて見守る。
「まだ飲まないのね」と静かに寄り添う。
そんな日々のなかで、子どもは少しずつ育っていきます。
できるようになるまで、
親は“信じる力”を育てているのかもしれません。
過去の自分と比べなくていい
「自分はもっとちゃんとしてたのに」
そんな思いがよぎることもあります。
でも、過去の記憶は曖昧で、
そして「できていた」ことが今の子にとっての正解とは限りません。
過去を基準にせず、今の子どもをまっすぐ見る。
それが、いちばん誠実なまなざしだと思います。
できるようになるまで、何度でも
トイレトレーニングだって、最初はうまくいかなかった。
でも、何度も、何度も、連れていってあげて、
少しずつ、できるようになった。
そのときも、不安だった。
でも、できたときのあの笑顔、今も覚えているでしょう?
子どもは、ちゃんと育っていく。
急にぐっと変わるその瞬間が、少し寂しいくらいに。
手がかかる今この時間こそ、
もしかしたらいちばん幸せなのかもしれません。
🕊️ 今日のことの葉
焦らなくていい。
ゆっくりでいい。
あなたの声は、ちゃんと届いている。
🌿 アドラー心理学にふれたいあなたへ
アドラーの考え方をもっと深く知りたい方へ──
『嫌われる勇気』は、そのタイトルとは裏腹に、
子どもとの距離の取り方、自分自身との向き合い方がやさしく変わる一冊です。
この気持ちを、うまく言葉にできなかった。
でもこの本を読んで、“ちゃんとしなきゃ”という思い込みが、ふっとほどけた気がしました。
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